2017年12月
ドライソープの抱水能力について
ドライクリーニングにおいて、水溶性の汚れを除去する為は
ドライソープが重要な役割を担います。
水溶性の汚れを除去したい場合、衣類に水溶性の前処理剤等を噴霧します。
その水分を溶剤中に分散(可溶化)させる能力を持つのがドライソープです。
これがドライソープの抱水能力です。
当然、抱水能力が高い方が、前処理で水分を多く使えることになり、
水溶性汚れを分散・除去することが可能となります。
ということは、抱水能力が高いドライソープを使うという事は
水溶性汚れが良く落ちる事になるので、その結果、当然
カートリッジフィルターの寿命が短くなります。
溶剤中に可溶化した水分を衣類に逆汚染させない為には、
カートリッジフィルター内の吸着剤の性能と
フィルターを定期的にきちんと交換する事がとても重要です。
最近、お問い合わせを頂くことがある、
従来品に比べて抱水能力が異常に高い、
あるいは元々水分を含むドライソープを使用する場合には、
余分な水分をしっかりと除去してくれる吸着剤の選定はもちろん、
カートリッジフィルターの性能に合わせた定期的な交換が
さらに重要になるのは言うまでも無い事です。
従来からある一般的なドライソープ使用の場合、
16kgドライ機、470×2本で、200ワッシャー毎の交換が目安です。
しかし、抱水能力が異常に高い、あるいは元々水分を含むドライソープを使用するのであれば、
それよりも、当然、早目に交換しなくてはいけません。
場合によっては、蒸留も必要になると思います。
万が一、定期的な交換を怠り、余剰水分が液体としてベースタンク内に存在すれば
移染、逆汚染、収縮、異臭発生の原因となります。
通常時は、ベースタンク中の溶剤には水分が無い事が理想となりますが、
現在主流の石油系コールマシンでは無理だと思います。
石油機では、ベースタンクの溶剤にもドライソープをチャージするのですから、
梅雨時期等、湿度が高い時期には、衣類からの水分や大気湿度も呼び込みます。
結果、余剰水分が蓄積していく事になり、徹底した、水分除去、溶剤管理が必須となります。
これが出来ない環境では、ただ単に抱水性能が高い=良いソープであるとは言えないと思います。
異常に高い抱水能力を持つドライソープや元々水分を含むドライソープを使用するのであれば、
尚更の事、常にドライ機内の溶剤を点検し、決して溶剤管理を怠ってはいけません。
バランスが崩れれば、先に申し上げたようなトラブル
移染、逆汚染、収縮、異臭の発生等が起こります。
皆様は如何お考えでしょうか?
ドライソープの選定のヒントになれば幸いです。